施術全般

PNF療法について

筋膜リリース 肩こり

PNFの基本原理

PNFは文字通り(ニューロマスキュラー)の促通を行う理学療法です。

私達のすべての動きは神経よりの命令を受けた筋肉が行っています。

しかしこの神経よりの命令は、その神経の支配するすべての筋肉へ等しく伝わるわけではありません。

シナプスが筋肉に終わる部分のごく限られた筋組織のみに伝わります。

このシナプスが筋肉に終わる部分を神経筋接合部(エンドシナプス)もしくは神経筋ユニット(ニューロマスキュラー)略して神経筋と呼ばれています。

通常、私達が筋肉を動かそうとする場合最初に神経より電気的信号(神経インパルス)が筋肉へ放射されます。

―インパルス伝導―その後、シナプスを通じ神経伝達物質が神経筋接合部で分泌されます。

―アセチルコリンの放散―これにより神経筋接合部の筋組織の膜コンダクタンスが増加し、その状態が紡錘筋に伝わります。

そして紡錘筋がスピーカー的な役割を果たしながら、そのことを脊髄神経後角(下位中枢神経)に伝え、その結果一方は脊髄神経前角より多シナプス運動反射として運動反射弓を形成し、もう一方はそれを支援すべく脊髄神経側角に伝わり介在ニューロンの働きを高めます。

さらにもう一方が神経上行経路をたどり高位運動中枢へ伝わり、そこでフィードバック制御に基づくフィードバック信号を神経に送り、その支配性により運動効果器である筋肉に充分な力を与えます。

これら一連の伝達が円滑に行われておれば何の問題もないのですが、シナプスよりのアセチルコリンの分泌が何らかの理由で抑制された場合、筋肉は充分な力を出すことが出来ないばかりかそのレベルによっては、筋肉はその活動力の大半を失う場合があります。

―神経麻痺―これに対し筋組織に対し直接他力(求心性情報伝達)で内的刺激―固有受容性刺激の伝達(筋紡錘を経由した刺激)を発生させれば、その増加した膜コンダクタンスに応じたアセチルコリンが分泌され、機能を低下させているシナプス伝播力が回復します。

このことを神経筋促通と言います。

方法は運動反射弓を形成する最低2ケ所の関節に拮抗圧を加えながら運動反射弓と整合し得る連続運動を行います。

これによって、前述の膜コンダクタンスを増加させ又、運動反射弓上の連続運動によりフィードバック制御による利得解消の手段として、神経伝達物質であるアセチルコリンを放散せざる得ない状況をシナプスに現出させます。

これが固有受容性の神経筋促通です。

このようにPNFは当然の帰結として神経機能の回復に優れた効果を現します。

春日式PNF(筋整復法-神経・筋整合法)

他方、神経・筋整合法は関節抵抗については同様の原理を用いますが、連続運動ではなく静止運動の形態を取ります。

この形態を取ることにより神経間反射や神経上行経路等を利用することができ、これにより通常の反射弓とは別に任意の反射弓を形成することが出来ます。

これは関節間の協調を円滑にならしめるマニプレーション効果を高めることに直結し、さらに固有受容器の逆転利用もこれにより可能となり、関節抵抗のかけ方や、静止角度等により筋繊維の整復力を大幅に向上させることも出来ます。

又、神経上は脱分極しているにもかかわらず筋、及び部位が静止していることにより、筋レベルにおける局所代謝力を急速に向上させることも可能となり、このことは神経筋閉塞の周辺事由を消去させながら神経筋促通を達成させることを意味します。

その結果シナプス遅延性を回復させることを筋代謝力の向上とうまくマッチングさせながら行うことが出来、慢性痛の解消に抜群の効果を発揮します。

さらに言えば筋代謝力の向上は、末梢レベルでの静脈還流を急速に高めることを意味し、これにより炎症性の疼痛や代謝性の疼痛をも急速に解消させることが出来ます。

このように神経・筋整合法は、ただ常に神経筋を促通させるだけでなく痛み解消に優れた効果を持つことが、通常のPNFに比べて大きな優位性となります。

又、筋組織にかけるフィードバックはホルモン系にも多大な影響を与え、これをうまく利用することによりアレルギー性疾患を始めとした内科的領域にも効果を発揮することも出来ます。

PNF療法の歴史

PNF(プロティブセプティブ・ニューロマスキュラー・フェシリテェーション)療法の歴史について。

PNF療法の源流は、1930年代・オーストラリアの女性による民間療法から始まっています。

当時ポリオが世界的レベルで大量発症し、その後遺症としての神経麻痺が医学界の大きな課題となっている時、オーストラリアの女性が、その神経麻痺の改善に独自の治療法ですばらしい効果を高めていました。

この話が米国に伝わり米国でたいへんな話題となり、米国医学会がそのオーストラリア女性をニューヨークに紹きました。

そのことをきっかけとし米国の当時理学療法士(後の神経内科医)であった、ハーマン・カバト先生の学問的研究として正式に医学界にデビューしました。

その後ハーマン・カバト先生は、1945年ワシントンDCにハーマン・カバト、リハビリセンターを開設し、米国での臨床をスタートさせその後、カリフォルニアの鉄鋼財閥であるカイザー財団の後援を得、カリフォルニア州・オークランドにて「カイザーカバト、リハビリ病院」を開設以後、臨床の中心を加州に移しその後、女性理学療法士であるマーガレット・ノットー先生に後事をたくしました。

そして、1968年そのマーガレット・ノットー先生の手によりPNF療法として発信されました。

しかし残念な事にその後、マーガレット・ノットー先生は乳癌で亡くなり、その確立は世界中の研究者の手によることとなり日本においても春日スポーツ医学研究所、春日啓先生もその一人として、その研究を継承し、PNF筋整復法を開発、今日に至っています。

現在の米国では、医学面ではカイザー記念病院(加州・オークランド市)が中心となり、臨床・及び研究が進んでいます。

又、PNFは運動生理学の面にも広がりその研究の中心は、スタンフォード大学が主になっています。

春日啓先生が注目したポイントとして、最初のPNF療法の開発は、オーストラリアの女性による民間療法で有ったという事です。

アメリカンフットボールなどのスポーツ選手に施されている、PNF療法は、強い力を掛けて行うものが流行っているが、本来のPNF療法は、女性が行っていたのだから、弱い力で行える筈ではないのか?

という考えから、春日式オリジナルの、PNF筋整復法、及び神経・筋整合法を開発されたそうです。

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