ばね指・弾発指とは?
朝起きて、あれっ!指が引っ掛かって伸びない
いつもの人は、当たり前になっているかも知れません。
初めての人は、焦りますよね。
ばね指とか、弾発指と言われる疾患で、腱鞘炎の一種です。
何故そんな事が起こるのでしょうか
原因は、手の使い過ぎや、ホルモンバランスの崩れと考えられています。
病院では、薬(消炎剤・鎮痛剤)や湿布、レーザーなどで痛みを和らげる処置が行われる様です。
酷い場合は手術を施されます。
一般的な接骨院・整骨院の場合は、電療、レーザー(スーパーライザー等)、超音波、湿布などを行われています。
では、ばね指・弾発指とは、どういう状態に成り、指が引っ掛かるのでしょうか
指を曲げる筋肉の腱の部分にコブが出来ます。こんな仕組みです。
コブが腱鞘に引っ掛かるので、バネのような動きになってしまいます。
コブが出来る原因としては、使い過ぎや、ホルモンバランスの崩れと考えられています。
私の考えとしては、何等かの圧迫により血液や体液の循環が悪くなり、老廃物やカルシウムが溜まった状態ではないかと思っています。
では、病院で手術する場合は、どんな事をするのか
これは単純に腱鞘をカットして、コブが引っ掛からない様にします。
でも、コレは対処療法に過ぎないと私は思う訳です。
痛みがあまりにも酷い場合は、それも選択肢の一つと思います。
先程お話しした通り、私としては手の循環障害と考えています。
その理由は、一人の患者さんが、指一本だけ、ばね指を発症しているとは限らないのです。
中指がばね指で、人差し指がへバーデン結節で、薬指がブシャール結節なんてケースも結構な頻度で拝見いたします。
という事は、発症している部分だけで解決するとは思えないのです。
原因は、発症している場所ではなく、もっと上の手根管であったり、腕の筋肉であったり、さらに上の胸の筋肉であったり、背中が原因で胸の筋肉を緊張させていたりと、様々な事が考えられるのです。
最終的に症状が出ているのは指ですが、何らかの原因で手が浮腫んだ状態からの発症と考えて、手法選択を行います。
ばね指・弾発指の原因
手根管症候群
原因と考え方を、一つずつ説明していきたいと思います。
先ずは、手根管の問題についてです。
ただしこれは、ばね指になるのは、手の循環障害である、という私の持論によるものです。
ですので、考え方の一つと捉えて下さい。
では、説明します。
イメージとして、手は水風船のような組織と考えます。
手首に有る、手根管が硬くなれば、縛ったのと同じ様な状態になります。
手が浮腫んだ状態になるには、どこかで縛って水が風船から漏れない様にする必要があります。
でも圧迫されるのは神経だけでは有りません。本来ならば神経が圧迫されてシビレが出たりするのが手根管症候群です。
血液や体液も手根管の組織に圧迫されてしまいます。
結果、体幹に戻れないので浮腫みます。
勿論の事ですが、完全に止まる訳ではなく、少しずつしか流れられないという意味です。
すると老廃物や緊張成分のカルシウムなどが、体幹に戻れず溜まります。
その溜まった老廃物やカルシウムが指の腱に蓄積された場合に、ばね指が発症するのではないかと思うのです。
手根管の圧迫を解除する為には、経験上、JRC関節可動回復矯正法で、手根骨の関節ロックを解除するのが手っ取り早いと感じます。
上肢関節の軸ずれ
更に上部の原因として、上肢の関節の軸ずれについてです。
上肢の関節は、肩、肘、手首の3か所の関節で1つのユニットとして動作を行います。
その3か所の関節が揃っていると、上肢は滑らかな動きが出来ます。
ところが関節にズレが生じる事が有ります。
関節軸にズレが生じると、腕の筋肉に余計な力が入りっぱなしの状態になります。
筋肉に力が入りっぱなしという事は、血管やリンパは圧迫されます。
つまり血液や体液の循環が低下します。
そして水風船の様な作りの手は浮腫んだ状態になり、老廃物やカルシウムが貯まりやすくなると、私は考えています。
ですので、念のため、PNF筋整復法で上肢の3関節の関節軸も揃えておきます。
胸郭出口症候群
更に上の胸郭出口症候群についてです。
ばね指・弾発指が主訴と考えた場合、痺れも痛みも出ていない事も有るかと思います。
胸郭出口症候群とは、首の付け根の筋肉や、胸の筋肉が緊張する事により、腕の血管や神経が圧迫されて出る、痛みや痺れの事です。
痛みも痺れも無いのに、胸郭出口症候群なの
関係ないんじゃないの
という考え方も有ると思いますが、これまでのお話しの様に、手を水風船の様な組織と考えた場合、手までのどこかに血管やリンパを圧迫する所が有れば、浮腫んだ状態になります。
血液や体液の循環が阻害されますので、老廃物やカルシウムが貯まりやすい状況が作られてしまうと思う訳です。
その老廃物やカルシウムが指を曲げる筋肉の腱に貯まったら
コブになったら、腱鞘に引っ掛かりますよね。
痺れや痛みが無い場合でも、一応疑ってみるべきポイントと思います。
勿論の事ですが、腕の上の方から痛みや痺れが有って、ばね指・弾発指も有る人は、ここが原因になっているケースが多いと思います。
ホルモンバランス
ホルモンバランスの崩れと言うと、更年期障害を連想されるかも知れませんね。
更年期障害の症状が出ていて、ばね指・弾発指も発症している場合は、真っ先に原因として疑ってみると良いでしょう。
でも、それ以外の場合でも、冷えなどの原因で、ホルモンバランスが崩れる事が有ります。
これは簡単な検査が有りますので、一応調べてみるのも一つの手です。
やり方は、下腹部に手を当てて、ガーーーーーッと擦ってみます。
そして、その手を当てたまま、ばね指・弾発指を発症している手を、握ったり開いたりしてみます。グー・パーですね。
指の引っ掛かり方が軽くなったり、手自体がスッキリする場合は陽性です。
他にも原因が有るかも知れませんが、原因の一つはホルモンバランスの崩れで有ると考えるべきでしょう。
陽性で症状の軽減が有る場合は、どうしたら良いでしょうか
手を、ずーーーっと当てて置きますか
それはちょっと大変ですよね。(笑)
手の代わりにテーピンクを貼ります。
スパイラル・テーピングの場合は、こんな感じに大きなクロステープを下腹部にペタッと貼ります。
スパイラル・テーピングが無い場合の対処療法も有ります。
テーピングの代わりにティッシュペーパーやキッチンペーパーなどの紙を、皮膚に直接当てて置きます。
パンツのゴムで止まる形になります。
紙には保温作用が有りますので、手を当てて置く代わりになるのです。
なぜこんな事で変化が出るのでしょうか
これは、リンパ腺の連動の様です。
下腹部を温める事により、胸部や腋窩に有るリンパの緊張も取れて流れやすくなります。
ホルモンバランスの崩れは、生殖器系や、男性で有れば前立腺などの働きが低下すると緊張状態を起こし、リンパの流れにも異常を来す様です。
結果、手に溜まっていた体液が体幹に戻り、症状の改善に繋がると思われます。
ばね指・弾発指の施術
私の場合、簡単なバージョンと、理想的なバージョンが有ります。
簡単なバージョンの方は、JRC療法(関節可動回復矯正法)で手根骨と指の関節の引っ掛かりを取り、
PNFストレッチのPNF筋整復の手法で関節の軸合わせを行います。
そして、ばね指・弾発指のコブを、ちょっとしごいて、スパイラル・テーピングのエクセルテープを貼ります。
施術の時間は短く簡単ですが、施術期間は掛かります。
全身整体としての理想的なバージョンの場合は、体幹から施術します。
細かく説明をすると、JRC療法(関節可動回復矯正法)で、先ずは骨盤の仙腸関節の引っ掛かりを取ります、
それから肋骨と背骨の引っ掛かりを取ります。
そして肩甲骨の周りの筋肉の硬さを取り、手根骨と指の関節の引っ掛かりを取り、
PNFストレッチのPNF筋整復で肩から指までの関節の軸合わせをして、必要が有ればコブをちょっとしごいて、スパイラル・テーピングのエクセルテープを貼ります。
診る範囲が広いので、施術時間は少し掛かりますが、身体全体の血液や体液の流れが改善するので、施術期間は短くなる事が多い様です。
ばね指・弾発指のスパイラルテーピング
3種類の貼り方をご紹介いたします。
一つ目
まず一つ目は、ばね指・弾発指に対してのスパイラル・テーピングで10数年前から有る方法です。
これは2枚のテーピングを使います。
一枚は、ばね指・弾発指になっている指を曲げる筋肉の腱で、コブになっている所に2㎝×2㎝くらいの四角いテープを貼ります。
もう一枚は指を伸ばす筋肉の腱に幅5㎜、長さ1㎝くらいの小さなテープを貼ります。
小さい方のテープは、指を伸ばす筋肉に力を持たせる目的だったと思います。
二つ目
次に二つ目のテーピングです。
こちらは近年発表された新しいタイプの貼り方です。
長さ7㎝、指の場合は幅が4㎝くらいの大きさのテーピングを中抜きにして使います。
臨床研究会と言って、スパイラル・テーピング協会会員の先生方から、なかなか改善しない患者さんを集めて、考案者の田中信孝先生が直接診る機会が有るのですが、その時はテーピング貼った途端に、ばね指が引っ掛からなくなりました。
手の平に、こんな感じに貼ります。
そのつもりで私も患者さんに貼ってみたのですが、そこまでの変化は出せませんでした。(苦笑)
会員仲間から話しを聞くと、貼り続けると引っ掛からなくなるそうです。
三つ目
では最後に三つ目の貼り方です。
これは実際に私が使っている方法です。
非常にシンプル
但し私の場合は、手だけでなく上半身の関節ロックを解除して、腕と指の軸合わせをした上で貼りますので、これ一枚で結果が出るのではないかと考えています。