当院で行っている施術の一つに、PNF筋整復法という手法が有ります。
写真で見ると、ストレッチと何が違うのか判らないと思いますので、説明させて頂きます。
筋肉は一定の所まで伸ばすと、筋肉や神経からの抵抗が有ります。
筋整復法の場合は、その抵抗を捉えて、拮抗圧を掛けて変化を待ちます。
手に伝わる感触としては、プツッ、プツッと筋肉に刺さっている杭が、外されて行く感じ、魚釣りの当たりにも似た感触です。
おそらく筋肉や筋膜の癒着が剝がれる時や、筋肉の動きに制限が掛かっている所が外れる際に発生する小さな振動が、糸電話の様な仕組みで、術者の手に伝わっているのではないかと、考えられています。
一方、一般的なストレッチの場合は、最初に伝わる抵抗を捉えるのではなく、最大限に伸ばし、筋肉のキャパシティーを広げる事が多いので、見た目は似ているのですが、狙っている所や目的に違いが有ります。
ただし、筋肉は伸ばし過ぎると、筋線維が切れてしまうので、注意が必要です。
長年の腰痛に苦しんでいる人は、自分でストレッチを行い、伸ばし過ぎてしまい、筋線維に損傷を起こしているケースが多い様に見受けられます。
その為、何年も腰痛が続いている方に対しては、しばらくはストレッチを行わない様に指導する事が多く有ります。
一般的な施術とは、逆行している様にも思えますが、
「押さないで下さい、叩かないで下さい、伸ばさないで下さい、その代わり一方向に、さすって下さい。」
と言った指導をします。
期間の目安は、筋肉の修復に必要な、3~4週間。
それ以降は、ストレッチを行っても構いませんが、伸ばし過ぎない程度を心掛けて貰います。
腰痛など体幹の痛みに関しては、伸ばし過ぎない方が、早く回復できる様です。
手・足の痛みや痺れなどは、逆に伸ばし切った状態から手技を掛けないと、なかなか改善しないものも有ります。
筋肉を伸ばす事自体を否定する訳では無く、施術する部位によっての力加減は必要と感じます。
まとめますと、ストレッチは最大限に伸ばすのに対して、PNF筋整復法は伸ばす途中で起こる抵抗に拮抗した力を掛ける手技と言ったところです。
一般的なPNFストレッチと、PNF筋整復法も、違いが有りますので、またの機会に説明してみたいと思います。