外反母趾の原因は?
足のアーチの低下
外反母趾は、足のアーチが消失する事で発症します。
足のアーチ、つまり足は弓なりの形でクッション性を保っています。
そのアーチを保てなくなり、低下しますと中足骨に問題が発生します。
一般的な施術やテーピングは、外反母趾というと母趾を何とかしようとするのですが、重要なのは、むしろ中足骨や足根骨の方です。
中足骨のアーチが低下する時、ただ低下するのではなく、回転しながら低下します。
これが正常な足の横アーチとします。
その横アーチが保てなくなり低下し広がりました。
ただ下がっただけなら良いのですが、回転しながら低下する為、粘液嚢は本来の位置に留まる事が出来なくなります。
こんな感じに押し出されてしまいます。
これが、外反母趾の出っ張りの正体なのです。
施術では、中足骨の回転と一緒に粘液嚢を戻す矯正を行います。
粘液嚢とは?
粘液嚢とは、本来は拇趾の付け根の下に有って、クッションの様な組織です。
それが、母趾の回転と共に内側に押し出されてしまいます。
だから、余計に外反母趾が飛び出て見える様に成ります。
JRC関節可動回復矯正法の施術では、その粘液嚢を本来の場所へ誘導します。
母趾が外反するのは何故か?
中足骨のアーチが潰れて、開いてしまうところ、までは理解して頂けたでしょうか。
でも、開くなら拇趾は内側に行って開き過ぎてしまうのでは
こんな感じに
これは偏平足ですね。
その状態から、ある筋肉に引っ張られるから、外側に曲がった形になります。
それは足の裏に有って、拇趾を曲げる時に使われる長母趾屈筋という筋肉です。
長母趾屈筋
足趾の付け根が開いた分と同じだけ、この筋肉が伸びてくれれば、曲がらなくて済むのでしょうが、そういう訳には行かないようで、引っ張られた状態になります。
逃げ場を失った拇趾は、外側に引っ張り戻される形を取ります。
これが、外反母趾が外反する原因です。
他にも、諸説有るかも知れませんが、私が知っている理論の中では、一番納得のいく考え方です。
外反母趾は変形しているから痛いの?
外反母趾の痛みについて考えてみましょう。
はたして外反母趾は、変形しているから痛いのでしょうか
でも、外反母趾なのに痛くない人もいますよね。
その違いは何でしょう
同じ外反母趾でも、痛みが出ている人は、足の関節や筋肉が硬くてガチガチの状態です。
一方で、痛くない人は柔らかくて柔軟性が有ります。
つまり硬いから痛い訳です。
関節のロック(引っ掛かり)を解除して柔らかくなると、外反母趾の痛みはやわらいでいきます。
形に関しては、運動療法や足の使い方を変える必要が有りますが、痛みについては、硬いから痛いと考えて頂くと良いと思います。
外反母趾はハイヒールが原因?下駄なら
一般的な考えとして、一番普及しているのが、ハイヒールなどの先の細い靴を履くと外反母趾になる、という考え方だと思います。
しかし、外反母趾は女性だけに起こる事ではありません。
少数ですが男性でも、外反母趾の痛みを訴えてくる方がいます。
その方は、女装趣味などが有り、ハイヒールを履くのでしょうか・・・
そうは思えませんよね・・・中には居るかもしれませんが、かなり確率は低そうです。(笑)
でも、靴自体は原因の一つとも考えられます。
靴の中では、摩擦力として、外側から回転する力が働きます。
こんな感じです。
すると確かに、足のアーチは低下するし、中足骨は外側から巻き上がる様に回転してしまいます。
じゃあ、靴を履かないで、下駄や草履を履けば良いの
ハイ、下駄や草履を履きましょう・・・・・・という話しではなく、これも違います。
残念ながら、下駄や草履の時代にも、外反母趾は有りました。
という事は、靴の影響というのは無いとは言えないものの、他の原因の方が重要ではないでしょうか。
身体の使い方にポイントが有ると、私は考えています。
その考え方を当てはめると、下駄や草履の時代と言っても、明治維新以降は外反母趾が増えたけど、江戸時代までは少なかったのではないかと思います。
江戸時代までの歩き方
私としては、明治維新から外反母趾が増えたと考えています。
江戸時代と明治維新以降では、日本人の歩き方に違いが有ります。
明治維新以降、現代の歩き方は、左足を前に出す時は右手を前に出す、対角線に身体を使う歩き方ですよね。
ところが江戸時代までは、右手と右足を一緒に前に出す、左手と左足を一緒に前に出すという歩き方をしていました。
なんば歩き、なんば歩行と呼ばれる歩き方です。
武士は、素早く刀を抜けるし、下駄や草履には適している歩き方でした。
飛脚もナンバ歩きで、体重移動で走っています。
明治維新以降、靴の文化が入り、更には他国から攻められた時に速く走れず不利だった為、今の歩き方、左右逆に身体を使う歩き方が教育されたそうです。
では何故、ナンバ歩きなら外反母趾にならないのか、についての話しに移ります。
図で示すとこんな感じの歩き方になる訳ですが、その時足腰にはどんな力が掛かるかがポイントです。
右手・右足を一緒に、左手・左足を一緒にだして歩いてみて下さい。
女性の場合は、荷物を小脇に抱えて歩く状態になります。
丁度、腕組みをして歩く感じです。
実際に腕組みをして上半身と下半身が一緒に動く歩き方で歩いてみると、足の足趾がパッと開く感覚が体感されると思います。
足趾が開く力、足のアーチを矯正する力、お尻を締める力が同時に生まれます。
そう考えると、明治維新以前は、外反母趾が少なかったのではないかと思いませんか
外反母趾を矯正する運動療法としても、ナンバ歩きはお勧めです。
外反母趾の施術
外反母趾の手技療法
施術としては、JRC関節可動回復矯正法により骨と粘液嚢を、本来の位置に戻る方向に、回転を掛ける様に矯正を行います。
必要に応じ長母趾屈筋を緩める、PNFストレッチの、PNF筋整復法をかけたりします。
外反母趾のテーピング療法
手技療法を行った後に、必要な場合のみ、テーピング療法を行います。
JRC関節可動回復矯正法の外反母趾に対するテーピング法
JRC関節可動回復矯正法の場合は、この様なテーピングを行います。
貼り方は簡単なので、ご説明いたします。
伸縮性テープ5センチ幅のものをご用意ください。
長さは15センチ~20センチにカットします。
拇趾の付け根の出っ張った所からスタートします。
軽く引っ張った状態で、足の裏を通り小趾側の中足骨の中枢側の出っ張りまで貼ります。
基本的には、この一枚だけ貼ります。
外反が強い場合
外反が強い方には、もう一枚足して、矯正する力を強めます。
5センチ幅のテープを15センチくらいにカットします。
そのテープを片側だけ、3センチほど切れ目を入れます。
切れ目を入れた側を母趾に、上下から巻きつけます。
軽く引っ張りながら、足の内側に貼り付けます。
ちなみに、テーピンク処置前がこちらです。
片足たった2枚の伸縮性テープを貼っただけで、これ程の違いが出ます
外に向いていた母趾も、前を向き、立ってみると、しっかり支えられている感覚が得られると思います。
形だけでなく、歩く事も楽になります。
スパイラル・テーピングの外反母趾のテーピング法
こちらは、スパイラル・テーピングの外反母趾のテーピング療法です。
私の場合は、症状によって使い分けています。
外反母趾の痛みで、お困りでしたら、是非一度ご相談下さい。